2007年12月16日日曜日

Al Gore's Nobel Prize Speech


ゴア氏のノーベル平和賞と地球温暖化防止バリ島会議

アメリカの前副大統領アル・ゴア氏がノーベル平和賞を受賞し、12月10日にノルウェーのオスロで授賞式が行われました。その時のスピーチの一部がニューヨークタイムズに掲載されていましたので、私にとって一番印象的だった部分を紹介いたします。

言うまでもなく、ゴア氏は2000年の大統領選挙でジョージ・W.ブッシュ氏に僅差で破れ、政界から去りました。その彼が失意の底で取り組んだのが地球の温暖化問題です。彼の書いた「不都合な真実」という本はベストセラーになり、その記録映画はアカデミー賞を受賞しました。彼の取り組んだ地球温暖化問題がそれほど世界の関心を集めている証拠です。

私も海が好きで、あちこちのリゾート地域を見て回りましたが、バリ島やタイのパタヤ、ホアヒンなどでも浸食されたビーチが消えつつあるのを目のあたりにしました。異常な天候や想像を超える洪水被害などは珍しくありません。今後とも水位の上昇が続ければ、水没する島や都市は数え切れないほどになり、たんに特定の国や地域の問題ではなく、地球規模の危機だと思わざるを得ません。

今ちょうどインドネシア・バリ島で国連主催の地球温暖化問題が討議されています。将来への道筋を示すロードマップとなる合意文書をめぐって各国がその利害をぶっつけ合っているようです。予想されたようにアメリカや中国、インド、日本など経済発展にブレーキをかけたくない経済大国の強引な横やりで、妥協点が見つかるかどうかが焦点です。

ブッシュ政権とは相容れないゴア氏もこのような結果は予測していたようで、彼の受賞スピーチは誰の助けも借りず自分で書いたという切り込みするどい迫力のあるものでした。以下はそのほんの一部ですが、できるだけ記事の原文で味わってみてください。

During the cold war, Mr. Gore said in the address, scientists used to warn of “nuclear winter” — the consequence of nuclear war, in which smoke and debris would block the sunlight from the atmosphere. Now, he said, “we are in danger of creating a permanent ‘carbon summer,’” in which pollution traps the heat that is normally radiated back out of the atmosphere.”

【語注】 address (speechと同意語で、動詞としても使う) atmosphere (大気圏)

“As the American poet Robert Frost wrote, ‘Some say the world will end in fire; some say in ice,’” Mr. Gore said. “Either, he notes, ‘would suffice.’” Now is the time, he said, “to make peace with the planet.”

【語注】either (どちらでも) suffice (十分な条件を満たす)

Mr. Gore added: “The future is knocking at our door right now. Make no mistake, the next generation will ask us one of two questions. Either they will ask, ‘What were you thinking; why didn’t you act?’ Or they will ask instead, ‘How did you find the moral courage to rise and successfully resolve a crisis that so many said was impossible to solve?’”

【語注】Make no mistake(「肝に銘じて忘れないで欲しい」という強い言い方)
either (この場合は、「・・・か又は・・・」の意味)
 
【訳文】
ゴア氏のスピーチによると、冷戦の時代には科学者たちは「核の冬」を警告していた。つまり、核戦争の結果、煙と塵灰が地球を覆い大気から太陽の光線を遮るからです。ところが今や、大気汚染が熱を閉じこめてしまい、普通なら大気圏から反射され逃がされるはずの熱がこもるため、恒久的な「炭素の夏」を造り出すという危機を迎えているのです。

「世界は火焔につつまれて終末を迎えるか、あるいは氷の中で終末を迎える」とゴア氏はアメリカの詩人ロバート・フロストを引用しながら、付け加える。「どちらであろうとも、地球の終末にはそれで十分なのです」。「今こそ、この惑星と和解する時期なのです」。

ゴア氏はさらに続ける。「未来が今わたしたちのドアをノックしているのです。肝に銘じて忘れてはいけません。次の世代はわれわれに次のどちらかの質問をしてきます。「あなたたちは何を考えていたの。なぜ行動を起こさなかったの?」 或いは、「どうやってあんな義憤と勇気を奮いだたせ、だれもが解決不可能だと思っていた危機的状況を克服できたのですか」

**********


右肩上がりの経済発展と地球規模の環境破壊のどちらかを選ぶかは、先進国や急速な発展を続ける中国やインドのような大国にとっては、簡単にはイエスやノーの答えは出せないのは理解できないわけではありません。彼らにはゴア氏はオオカミ少年のような“alarmist”に映るかもしれない。しかし、オオカミが世界各地で出没している事実は否定のしようがなく、その群れが本気で牙をむいて来てからではもうなすすべはない。われわれ個人としてはあまり大きく考える必要はない。それぞれが自分でできる範囲から行動を開始することだと思います。

*****

ここまで書いたところでバリ会議の最新ニュースが入ってきました。2012年で終了となる京都議定書以降の取り組みを決めるロードマップに反対していたアメリカ、中国、インドがやっと合意したのです。(このグループに属する日本は、相変わらず他国の顔色伺いで影が薄かったようです。)バン国連事務総長からは“This is just a beginning and not an ending.” という安堵の声ともとれる発言がありました。

その合意のきっかけは弱小国パプアニューギニア代表の挑戦的な発言でした。”The United States should either lead, follow or get out of the way.” (アメリカはリードするか、従うか、さもなければどいて欲しいのです。)会場のどよめきに似た賛同のざわめきを敏感に感じ取ったアメリカ代表ポーラ・ドブリアンスキー女史は、その5分後に次のような発言をしました。

“In this, the United States is very committed to this effort and just wants to really ensure we all act together. We will go forward and join consensus.” (この努力にはアメリカもコミットしており、参加国全員が協同歩調をとることを確認したいと願っています。アメリカは一歩前進し合意に賛同します。)

各国の利害が対立するだけにジェットコースターみたいな目の廻る交渉で、2009年末までの最終合意にむけて今後とも延々と続きます。一見われわれには縁遠いようなテーマかも知れませんが、いざ身近に感じられるようになったらその時はすでに、「不都合な真実」という大変な事態に直面しているのだという覚悟を持たなくてはならないと思います。

**********

2007年もあまり良い年ではなかったみたいですね。来年は新しい秩序に向けてなにか大きな変化の起こる年ではないかと思います。

GOOD LUCK TO YOU ALL!

2007年11月2日金曜日

Sweet Dreams in Private Suites


Singapore Airlines Suites on A380

On 25 October 2007, the world's first A380 operated by Singapore Airlines made its historic first flight from Singapore to Sydney.

「処女飛行」という言葉はもう使われなくなった気がしますが、TIME誌に2週連続掲載の3ページ広告では「歴史的初飛行」という色気のない言葉を使っていました。あのロマンティックな響きの「処女飛行」はなにか女性の気にさわる差別用語とされているのでしょうか。

SQ's A380 is designed to carry 471 passengers in the grandest style. The cabin is configured in three classes: 12 Singapore Airlines Suites, 60 Business Class seats and 399 Economy Class seats.

最新鋭エアバスA380のシンガポール・シドニー間の「歴史的初飛行」は製造技術上の問題で予定より1年遅れの出発になりました。総二階建ての世界最大の旅客機の内部仕様はシンガポール航空(SQ)の特注で、スペースゆったりの471席におさえた仕様になっています。その飛び出るような目玉はやはり、ファーストクラス。なんと、お二人利用ならコンパートメントの仕切りをはずせばダブルベッドのプライベート空間にもなるという。その一点だけでも注目を集める効果は抜群でしたが・・・

"Singapore Airlines Suites"の広告キャッチにも思わせぶりな表現が見られます。
"haven of tranquility" (静寂の住処)
"unprecedented level of privacy"(かつてないプライバシーの世界)
"exclusive dining when you want it"(お好きな時にプライベートなお食事を)
"indulge your senses"(五感を心ゆくまで堪能)

(注釈: Senses = taste, hear, see, smell, and touch)


CNNネット版を覗いてみると、早速CNNの著名記者リチャード・クエスト氏が搭乗し、機内からファーストクラスをレポートしていました。それはSQが先手を打って、機内での行き過ぎた親密な行為は慎むようにとの次のようなお達しが注意をひいたからなのです。

"We ask customers to observe standards of behaviour on the aircraft that don't cause offense to customers or crew."

この表現で面白いのは「他のお客様だけでなく乗務員に迷惑になるような・・・」の乗務員です。これはおそらく乗務員が行き過ぎた親密な行為を見つけてもどうしていいか分からないから困るのですよね。五感を堪能しているカップルにどうやって注意すればよいのか、まだ客室乗務員用のマニュアルも原稿段階かもしれませんね。

そもそも「ルール」というのは、できるだけ多くの人がご気分を害さずにいられるための最低限の決まり事ですから、大金を払った大事なお客様がルールを破ったからといって恥をかかせるのはルール本来の目的ではないし、むずかしいでしょうね・・・。

さて、クエスト記者は早速ファーストクラスを点検し、通路側のドアを閉め隣席とのパーティションをはずせば、ハリウッドツインのダブルベッドとなる快適な空間に変身するのを確認。次いで同乗のシンガポール航空会長のチュウ氏にインタビュー。会長のご自慢はそのスペースと快適さ、とまで言ったのはいいですが、クエスト氏がすかさず「あの快適でセクシーなダブルベッドはなんのため・・・」。会長は言葉につまりながら、「まあ、旅のロマンスを空の上にもとの願いなんですが・・・」

クエスト氏が実際に使った言葉は"sexy"ではなく"lacy"であったことを付け加えておきます。女性の下着に使う"lace"からきた言葉で、「セクシー」とか「思わせぶりな」という意味でよく使われます。なにしろ、広告の見出しの"indulge your senses"そのものがかなり"lacy"な表現です。五感には触覚も入るのですから、二人だけのプライベート空間でこれを堪能するには一体どうすればいいのでしょうか・・・。

念のため、このコンパートメントは四方は完全に閉じることができるものの、天井はなし、背の高い人が覗き込めば上から覗ける、隣席とのパーティションは薄く防音にはなっていない。というわけで、安心して親密なロマンスを実行するには確かに問題ありと思った方がよさそうです。

しかし、人間考えることはみな同じ、ということは航空会社も周知のはずです。あのプライベート空間の中では当然、"extra activity"があり得ると想定すべきで、そうでなければビジネスクラスでも十分過ぎるくらい快適な造りになっています。

ちなみに、シンガポール・シドニー間のSQスウィート料金は一人片道$4000、二人で$8000です。帰りはエコノミーで十分です、念のため。というのは、せっかくスウィートクラスを奮発してカップルで行ったのに、自慢の種にしようと思った肝心のことが果たせず、帰りの道中は二人とも口も利かない仲になっているに違いないからです!

シンガポール航空はたえず革新を続けるエアラインですが、今回のA380は功罪半ばした「処女飛行」だったのではないでしょうか。子供のように目を輝かせていたクエスト氏もちょっと期待感をそがれた感じで、CNNニュースの見出しは"Mile High Passions Grounded"(天翔る情熱地に墜ちる)となっていました。

近い将来同型機を導入する他のエアラインがどういう仕様にして、どういうプライバシー・ルールを設定するか、高見の見物客として今後の展開が楽しみです。

**********

2007年11月1日木曜日

Toilets Of The World


世界のトイレット百態

今年の夏の異常な暑さに参ってしまい、しばらくサボッテおりました。これからも無理をしないペースでゆるりと行きますので、お暇な方はまたお付き合いください。

**********
英語に興味ある方なら、もう海外旅行など慣れたものでしょう。私も行く先々でいろいろ体験しましたが、スリルある体験のひとつが使い慣れないトイレというものです。文化というのはその国や地方独特の伝統や生活様式を指しますが、トイレはまさに文化を代表する存在です。

それにしても、次に紹介するスライド写真の数々に見られるトイレ百態は、人間の想像力の素晴らしさを、またユーモアには感嘆するばかりです。日本は世界に誇るトイレ技術先進国ですが、他国ではテクノロジーとは無縁ながら、ここに見るような奔放なデザインを生み出す想像力とそれを許してしまう社会の包容力に脱帽です。

ここで出すものが出せないような人は、有名メーカーの規格トイレのある一流ホテルから遠出されない方がよろしいのではと思います。

今回のような場面では英語は使わなくても用は足せそう(?)ですので、ヤボな解説はなしということで悪しからず。Good Luck!

下の「ここをクリック」の後は次にように操作してください。
・BIGUPLOADの画面に変わったら、30秒待つ
・BIGUPLOADの右側の[Enter Code]横の赤字のコードを[Here]のボックスに入力し、[Download]をクリックする。
・次にスライドのファイル名をクリックすると現れる窓で、「アプリケーションで開く」をOKすると、スライドが始まります。クリックかキーの→で前に進みます。
・スライドはPowerPoint形式です。

スライドはここをクリック


**********

2007年8月19日日曜日

Do You Miss The Ice Age?



It’s hot! But you wouldn’t miss the Ice Age!


If you are feeling the summer heat unbearable, this may cool you down a little and make you endure the boiling heat of this summer.

This is a Power Point slide show. Just click here and see what happened to our friends.

Any more complaints?


2007年7月24日火曜日

This is your captain speaking...



最近も飛行機事故があちこちで起きていて、手軽になった空の旅は一方では危険と隣り合わせですね。パイロットをネタにしたジョークまがいの実話も聞いたことがありますが、その中には墜落する飛行機のコックピットの交信記録がフライトレコーダーに残っていて、長く尾を引くパイロットの最後の言葉は“F―――――K!”だったそうです。この状況では他に適切な言葉などなかったでしょうね。

以下に引用するのはそんな深刻な状況ではないですが、実際にあった話しのようです。タイの英字紙に乗っていた記事です。(The Bangkok Post, March 13, 2005. By Roger Crutchley)

“This is your captain speaking…”

On a trip to Phuket earlier this month I experienced, along with about 200 other passengers, a slightly dodgy landing. The plane hit the tarmac with something of a wallop and we bounced down the runway a bit like an uncoordinated kangaroo. There were a few shouts of alarm and the bump certainly woke up anyone who happened to still be dozing in their seats.

[語注]dodgy危なっかしい; tarmac滑走路; something of a wallopドシーンという音を立てて; uncoordinated kangaroo千鳥足のカンガルーのように; dozing 居眠りしていた

At least it provided a talking point while we taxied around the airport as it seems that everyone had a previous bad-landing tale to tell. Then the Thai captain came over the intercom and apologised about the rough set-down. I think most of us were expecting him to explain that the wind had suddenly shifted or the wheels had fallen off or something like that. Instead he announced, in most humble fashion: "I'm sorry about that bad landing. It was totally my fault. I made a very bad mistake. I'm really sorry. I hope everyone is okay." After which there was a slight pause before he added, "I hope you will please enjoy flying with me next time."

[語注] talking point話しを始めるきっかけ; taxied around地上走行する; intercom機内放送スピーカー; apologised米語ならapologizedのスペリングになるところ。この著者はイギリス人かオーストラリア人でしょう。前段でカンガルーが引き合いに出されているところから、オーストラリア人の可能性が強い; set-down = touch-down; in most humble fashionいかにも低姿勢の言い方で; 

It was a somewhat unorthodox explanation, but it brought a hearty mixture of applause and laughter from the tourists aboard the flight, impressed at the pilot's frankness and amused by the suggestion they might wish to fly with him again.

[語注] unorthodox explanation機長らしからぬ説明; hearty mixture of気持よく入り交じった; frankness 率直さ; amused byおかしいと思って  

I must admit that my main concern when getting on an aircraft is to get off again at the other end, preferably in one piece. Anything else is a bonus. In fact US movie director Orson Welles wasn't too far off the mark when he commented: "There are two emotions on a plane: boredom or terror."

Give me boredom any time.

[語注] preferably in one piece願わくば五体満足で; Orson Welles 「市民ケーン」など往年の映画監督・俳優; not too far off the mark ・・・と言っても的はずれではない; boredom退屈 ; terror恐怖; Give me boredom any time 退屈ならいつでも歓迎

**********
これは恐らく実話でしょう。パイロットはいかにもタイ人らしい無邪気さにあふれているからです。欧米系ならもっと気を利かしたユーモアでその場の雰囲気をやわらげたと思いますが、タイ人はとっさに素直な人の良さが出てしまうからです。さて、日本人のパイロットだったら・・・・?

パイロットの人柄は次の実話エピソードにもよく出ています。これは英国人パイロットです。

“We have a small problem”

Next time you feel like complaining on a plane, spare a thought for the 239 passengers on a British Airways 747 flight over Indonesia in the early 1980s. A calm voice came over the intercom: "Good evening ladies and gentleman. This is your captain speaking. We ... er ... have a small problem ... all four engines have stopped. We are doing our damnedest to get them going again and we trust you will not be given too much distress."

[語注]Spare a thought for ….のことに思いを馳せてやってください; a small problem これはイギリス人特有の控えめな表現(=British understatement)。アメリカ人ならa serious problemと言うところ; doing our damnedest思いつく限りのことをやっている; ….too much distressあまり悲嘆なさらないように……(エンジン4基とも止まっているんですからね!)イギリス風ブラックユーモアの真骨頂です。

The plane had just flown through a cloud of volcanic ash, putting out all four engines. The 747 proceeded to plunge 25,000 feet in a matter of seconds before the captain was able to restart the first engine. Slowly, the others sparked into life and the plane landed safely in what at the time was termed "a miracle".

[語注]volcanic ash火山灰(インドネシア・ジャワ島には活火山がいくつもある);plunge急降下する; In a matter of secondsほんの数秒間に; sparked into life息を吹きかえした; in what at the time was termed “a miracle” 当時の報道で「奇跡」と言われたように。

So you want to complain about a bouncy landing or lousy airline food?

それでもまだあなたは、バウンドして着陸したとか、機内食がまずいなどと文句を言うんですか?

**********
私のマレーシアの友人が明日からアメリカに行きますが、シンガポール航空でシンガポール/ニューヨーク間をノンストップ便で行くと電話がありました。新鋭のエアバス機では18時間の長距離フライトもノンストップで飛べるようになったのです。彼も恐怖より退屈な旅を願っているでしょうから、”Enjoy your boredom.”とメールしておきました。

**********


2007年6月22日金曜日

We Are Like Pencils -- a slide show

We Are Like Pencils


今回はちょっと目先を変えて視覚的なレッスンです。Power Point のスライドショーです。音楽もついていますので、スピーカーのある方はオンにしてください。

まずこのURLアドレスをクリックします。
次にスライドファイルをダウンロードして始めてください。
(スライド画像が多いため最初の画面が出るまで時間がかかるかもしれません。)


・次の画面に移るにはマウスを画面上でクリックします。
・一画面を見終わってクリックするとまた次に画面に移ります。
・ショーの最後でまたクリックすると終了できます。

このスライドショーはタイの友人経由で送られてきたものですが、世界中を駆けめぐっているようです。

平易な英語ですので余分な解説は抜きにします。その単純にして明快なメッセージを何回でもお楽しみください。

**********

2007年6月3日日曜日

Adam and God


アダムとイブのお話はキリスト教世界ではおとぎ話のようなもの。ここでは宇宙を創造した偉大なる神様も、白いひげを生やした好々爺のようにジョークの種にされます。そしてアダムとイブは男と女の原点として、これまた恰好のネタにされます。

ここに取り上げる二題の話は平易な英語ですので、そのまま英語で味わってください。

Adam Talks to God

One day, Adam sat outside the Garden of Eden shortly after eating the apple, and wondered about men and women. So looking up to the heavens he says, "Excuse me God, can I ask you a few questions?"

God replied, "Go on Adam but be quick. I have a world to create."

So Adam says," When you created Eve, why did You make her body so curvy and tender unlike mine?"

"I did that, Adam, so that you could love her."

"Oh, well then, why did You give her long, shinny, beautiful hair, and not me?"

"I did that Adam so that you could love her."

"Oh, well then, why did You make her so stupid? Certainly not so that I could love her?"

"Well Adam, no. I did that so that she could love you."

**********


Adam Gets Two Organs

One day God came to Adam to pass on some news. "I've got some good news and some bad news", God said.

Adam looked at God and said, "Well, give me the good news first.”

Smiling, God explained, "I've got two new organs for you.
One is called a brain. It will allow you to be very intelligent, create new things, and have intelligent conversations with Eve.”

“The other organ I have for you is called a penis. It will allow you to reproduce your new intelligent life form and populate this planet. Eve will be very happy that you now have this organ to give her children.”

Adam, very excited, exclaimed, "These are great gifts you have given to me. What could possibly be bad news after such great tidings?”

God looked upon Adam and said with great sorrow, "The bad news is that when I created you, I only gave you enough blood to operate these organs one at a time."

[註](tidings=news.英語では同じ単語をくり返し使うのをきらいます)

Brain/Penisとも血液が十分に巡らないと満足に機能しない器官なのですよね。それなのに、一方が機能するときには他方が働かないとは、これ欠陥創造物ではないですか、神様。それとも、全知全能の神様にはもっと深い読みがあり、アダムの子孫たちが知恵をしぼってこの問題をどう解決するかじっくり見届けたかったのでしょうか。

後者の問題は需要の大きさに気づいた製薬会社のたゆまぬ努力の結果、かなりの効果のある薬が開発され世界中で売られているようです。皮肉なのはこのような薬を必要とする人たちは、新たな子孫の創造にはもはや関心はないことです。前者の頭蓋骨の中身の方の問題は後回しにされているようで、当面はどちらかを優先させるしかなく、その結果は自己責任ということでお願いします、というのが神様の真意のようですね。

**********


2007年5月19日土曜日

SLOW DANCE



サミュエル・ウルマンの『青春とは』を投稿した後に、マレーシアの友人のブログサイトでこの詩に出会いましたので、心を打つこの詩を投稿します。訳は必要ないと思いましたが、詩の後に参考までにつけておきます。

この詩はニューヨークの病院で迫りくる死を待つ少女の書いたものです。ガンに冒されあと6ヶ月の命と知ったその少女は、華やぐ若者のパーティにも縁がなく、高校も卒業することなく、結婚して自分の家庭を持つこともかなわぬことを知っていました。旅立ちの前に言い残したかったことを詩に託した、澄み切った若い魂の呼びかけです。

**********

 SLOW DANCE

Have you ever watched kids
On a merry-go-round?

Or listened to the rain
Slapping on the ground?

Ever followed a butterfly's erratic flight?

Or gazed at the sun into the fading night?


You better slow down.

Don't dance so fast.

Time is short.

The music won't last.


Do you run through each day
On the fly?

When you ask How are you?

Do you hear the reply?


When the day is done

Do you lie in your bed

With the next hundred chores

Running through your head?


You'd better slow down

Don't dance so fast.

Time is short.

The music won't last.


Ever told your child,
We'll do it tomorrow?

And in your haste,

Not see his sorrow?


Ever lost touch,

Let a good friendship die

Cause you never had time

To call and say,"Hi"?


You'd better slow down.

Don't dance so fast.

Time is short.

The music won't last.


When you run so fast to get somewhere

You miss half the fun of getting there.

When you worry and hurry through your day,

It is like an unopened gift....

Thrown away.


Life is not a race.

Do take it slower

Hear the music

Before the song is over.


***** ***** *****


SLOW DANCE

メリーゴーラウンドに乗った子供を見たことがありますか

雨が地面をピチャピチャ打つ音に聞き入ったことがありますか

チョウチョがくねくねと曲がって飛ぶのを目で追ったことがありますか

太陽が宵闇にとけ込むのを見つめたことがありますか


もっとゆっくりしましょうよ

そんなに早く踊らないで

人生の時は短いの

音楽はいつまでも続かないの


毎日追われるように走っているの?

お元気、と聞くときに

返事を聞くまで待つことありますか

一日が終わり、ベッドに横になるとき

やり残した100の雑事でまだ頭がいっぱい?


もっとゆっくりしましょうよ

そんなに早く踊らないで

人生の時は短いの

音楽はいつまでも続かないの


それはまたあしたよ、と子供に言ったことありませんか

気がせいていて、子供の悲しい顔は見なかった?

便りが途切れていませんか

親しい友情を死なしていませんか

ハーイ、と電話する時間がなかったから?


もっとゆっくりしましょうよ

そんなに早く踊らないで

人生の時は短いの

音楽はいつまでも続かないの


どこかに行くのにそんなに早く走ったら

行き着くまでの楽しみが半分になる

せかせかと急ぐばかりで一日を終えるのは

開けないままの贈り物を

放り投げるのとおなじこと


生きることはレースじゃないわ

もっとゆっくりお願いだから

じっくり聴いて音楽を

歌が終わってしまう前に

**********

●この詩をアメリカで回覧し始めた人はこの方です。感謝します。
Initiator--
Dr. Dennis Shields, Professor
Department of Developmental and Molecular Biology
1300 Morris Park Avenue
Bronx , New York 10461

**********


2007年5月17日木曜日

Economics Made Simple



やさしい経済学


経済学なるものにはぜんぜん興味がなかった私は、学生時代にも見向きもしなかったし、いまさら勉強しても後の祭りの感がつよいです。ところが私にもよくわかる経済学の法則例がありましたので、ご紹介しましょう。

“Using economics to influence behavior is something this country is built on—it’s called capitalism.”

(経済学の法則を応用して人々の行動に影響を与えるというのは、そもそもこの国の寄って立つ原理なのです。それは資本主義と呼ばれています。)

By Michael Bloomberg, New York City mayor, who is considering charging people a fee for driving into the heart of Manhattan. (Source: Times)

ニューヨーク市長のブルームバーグ氏の発言です。マンハッタン中心部に乗り入れる車に特別料金を課すことを検討中と発表してニュースになりました。東京の銀座通りに入る車に通行料を課すようなものです。いいアイデアだと思うのですが。

市の中心部に車を乗り入れて余分なお金を取られるなら、車はやめて地下鉄で行くことにしようか、と考えるのは経済学の法則に基づく行動である。それがこの国の根幹となっている資本主義というものである、とのご指摘です。よくわかったような気になるから不思議ですね。政治家にこういうユーモア感覚で言われると、素直に聞く気になりませんか。

ちなみに、シンガポールなどはもうとっくに実行していて、目抜き通りのオーチャード・ロードに車を乗り入れると特別通行料がチャージされます。タクシーも例外ではありません。

**********


2007年5月16日水曜日

Why Worry?



今回はちょっと息抜きに、軽めのブラックユーモアを味わってみましょう。
論理的にも突っ込みようのない正論であることに気が付かれることでしょう。
英語としてはやさしいですから、へたな注釈はなしということで。


Why Worry?


There are only two things in life to worry about:

Whether you are well or whether you are sick.

If you are well, then there is nothing to worry about.


But if you are sick,

There are only two things to worry about:

Whether you are going to get well

Or whether you are going to die.


If you get well,

Then there is nothing to worry about.

But if you die,

There are only two things to worry about:

Whether you are going to heaven

Or whether you are going to hell.


If you go to heaven,

Then you have nothing to worry about.

But if you go to hell,

You’ll be so busy shaking hands with all your friends

That you won’t have time to worry!


So, Why Worry?

Be Happy!

**********


2007年5月9日水曜日

Queen's Visit to USA (II)


エリザベス女王のアメリカ訪問 (II)


アメリカでは奴隷制度や原住民であるインディアン(Native American)の扱い、オーストラリアに行けば原住民のアボリジニーの扱い、ニュージーランドではマオリ族、などなど。かつての植民地を訪問するたびにエリザベス女王は大英帝国の過去の問題をチクチクと指摘され、現地のマスコミなどからコメントを求められるそうです。日本の首相に対する「従軍慰安婦」や「過去の清算」と驚くほど似ていますね。エリザベス女王は政治的な発言は一切されないのが常で、今回もホワイトハウスでのスピーチでも、植民地時代の過去にはお詫びの言葉は一切なく、ただ一言:
“Human progress does not come without cost.”
(代償を払うことなく、人間社会が進歩することはあり得ません。)

さらに続けて、”Today’s American society, which is a melting pot, is an inspiration for social challenges ahead.”

人種のるつぼのアメリカ社会ですが、イギリスも急速に多民族社会になりつつあり、アメリカと同じような問題をかかえるようになっています。女王の発言のなかの”inspiration for social challenges ahead” を拡大解釈すれば、「アメリカ社会の現状をアメリカ自体がどう解決していくか、それがイギリスの将来の問題解決の糸口になって欲しいと願っております」ということではないでしょうか。

ホワイトハウスでの歓迎晩餐会は、珍しくホワイトタイと燕尾服着用の正式なものでした。これが最後の機会になることを知っているブッシュ夫人の口添えではないかと言われています。
Mrs. Bush called the white-tie dinner ”the most elegant and most formal that we’ll host.”

ここでの歓迎スピーチでブッシュ大統領が(珍しくないようですが)、トチリました。エリザベス女王が1976年のアメリカ建国200年祭に来訪された、と言うつもりが「1776年」と言ってしまったのです。ただ、これには大統領もすぐ気付き、ちらっと女王の方を見てから苦笑いして出席者に向かって言いました。
“She gave me a look only a mother could give a child.”
(女王の表情は母親がこどもに向ける眼差しでした。)

会場からは遠慮がちなクスクス笑いがありましたが、やはりスピーチ慣れしたアメリカの政治家ですね。すばやく、アドリブのユーモアで失点を取り返すあたりはさすがです。日本の政治家なら、ただ恐縮してあやまるだけでその場がしらけたかもしれません。

ここでそもそものテーマである女王のイギリス英語をCNNで聞きました。クイーンズ・イングリッシュなどと気取ったものではなく、ごく普通の話し方です。しかし、81歳とは思えぬ若々しい声、透き通ったよく響く声、きれいな明確な発音、よどみなく流れるような話しぶりの、内容もよく理解できるすばらしいスピーチでした。

一方のブッシュ大統領のスピーチは、内容は別にして、英語という点で比較すれば女王に脱帽でしょう。アメリカ英語の問題はいかにも軽すぎることです。発音の仕方から来ていると思いますが、とにかく一語一語を明確に発音せず、上っ滑りのフニャフニャした音になるのです。とくにブッシュ大統領の英語はテキサスなまりの残る話し方で、エリザベス女王の英語とは比較の対象にもなりません。

風格のあるなしや地方なまりは問題にしないとしても、一般的にアメリカ人は自分のしゃべる言葉に愛着をもっていないように感じます。言葉など意思疎通のための記号だとしか思ってないのでは、という感じさえします。一語一語を大事に発音するイギリス英語を聞くと、私などは生理的快感さえ覚えてしまいます。イギリスには英語しか財産は残っていないからだろう、とアメリカ人は言いそうですが。

ここで気になるのがアメリカ国民のイギリス女王と王室に対する反応です。CNNから引用しますと、

“A CNN/Opinion Research Corp. poll released Monday during the queen's six-day U.S. visit finds that eight in 10 Americans have a favorable view of the British monarch. This comes despite the fact that four in 10 believe Britain would be better off without a royal family.”

つまり、10人のうち8人はイギリス女王ご夫妻に好感をもっている。その一方で、10人のうち4人はイギリスには王室はない方がよい、と考えている。

しかし、実際にはアメリカ人の意見は分かれていて、正確には41%が王室存続には否定的、45%は王室がなくなるとさらに悪くなる、14%がどちらとも言えない、という意見だそうです。

ところで、イギリス人の目には今回の女王アメリカ訪問はどう写っているでしょうか。CNNのイギリス人記者で、歯に衣を着せないコメントで有名なリチャード・クエスト記者の現地レポートから引用しますと(彼のしゃべりを書き写したものです):

“There is always a feeling, when the Queen and the prince visit the United States, Americans do have this most delicious love and hate relationship with the British royalty.”
(女王と王子がアメリカを訪問するたびに、私はいつも感じるのですが、アメリカ人はイギリス王室とのいつまでもあきることのない愛と憎しみの関係を味わっているようなのです)

“In 1776 they kicked out the Brit’s butts, but when the first British royalty comes, people were scratching each other’s eyes out to get tickets to the state banquet.”
(1776年には独立戦争でイギリス野郎のケツをけっ飛ばしたわけですが、最初のイギリス王族が訪問するとなると、お互いの目玉を引っ掻いて争っても晩餐会の招待状を手に入れようとしたのです)

“…Because, by and large, you cannot buy royalty. You are born royalty.”
(要するに、金では王族の身分は買えないのです。王族に生まれるしかないのです)

“As nouveau riche they can build a big house, they can give themselves out in grace, but they can’t become royal. Americans, the traditional white Anglo Saxon Americans, do have a love affair with the British royal family.”
(新興の成金は大きな邸宅を建て、外見は立派な身なりはできるものの、王族にだけはなれないのです。伝統的な白人のアングロサクソン系アメリカ人は、イギリス王室とは切っても切れない愛人関係にあるのです)


王族の身分は金で買えないものの一つです。これが世界一金持ちのアメリカ人にはくやしいのです。何千億の金持ちでも、豪邸をもち、贅を尽くした暮らしはできても、王族の身分は買えないのです。腕力で世界の国々を屈服させようとも、M&Aで世界中の資金をかき集めても、手の出ないものがそこにある。こんな理不尽なことがあるのが納得できない。だから、今は落ち目のかつての宗主国から女王ご夫妻が訪問するとなると・・・それがlove and hateの感情なのでしょうね。

王室というのは「無用の用」であるから良いのです。政治の世界とは一線を画し、国民とは精神面だけで結ばれているから意味があるのです。武力や財力だけが無理を通し、「金儲けのどこが悪い」とうそぶく若者がはびこる世の中に、金で買えないものというのは一体何と何があるのか、もういちど整理しておく必要があるように思いました。

というわけで、エリザベス女王も本日帰国の途につかれたようですので、おわりに
Long Live the Queen!

**********

2007年5月8日火曜日

Queen's Visit to USA (I)


エリザベス女王のアメリカ訪問(I)


前回の投稿でアメリカ英語が英語圏での決定権をもつ世界一の強力な言葉になったことを取り上げましたが、ちょうどタイミングよくエリザベス女王が今アメリカを訪問されています。バージニア州のジェームスタウン、ケンタッキー州のケンタッキー・ダービーで大好きな競馬を楽しまれた後は、首都ワシントンでブッシュ大統領とも面会する日程になっています。王室外交にかけてはベテランである81歳の女王は、成り上がり者のアメリカでどう扱われるのか興味がありますね。

1607年5月14日、3隻の船に分乗した100余名のイギリス人たちが、5ヶ月間の苦難の航海ののちアメリカ新大陸に到着した。その上陸地がバージニア州ジェームスタウンで、この地名は当時のジェームス英国王の名前から命名されたものです。

まず、ジェームスタウンでのチェイニー副大統領の歓迎の挨拶から紹介します。

U.S. vice president Dick Cheney’s welcome speech in Jamestown, Virginia, May 4:

“Your Majesty, 50 years ago on your first visit to America as a sovereign you were given a very warm welcome. Half a century has done nothing to diminish the respect and affection which this country holds for you. We receive you again today in the same spirit.”

“Here at this first settlement named in the honor of the English king, we are joined today by the sovereign who now occupy that throne. She and Prince Philippe are held in the highest regards throughout this nation, and their visit today only affirms the ties of trust and warm friendship between our two countries.“

“Your Majesty and your Royal Highness, all of us are very privileged today and we will certainly remember this day that we shared your company.”

[語注]
Settlement
ジェームスタウンのような入植地を指す
Sovereign
王位継承者のこと
We shared your company
「女王陛下にご出席頂き同席の栄誉にあずかったこと」の意味です。

この”company”はアメリカ英語では良く使われるので、慣れておいた方がよい表現です。「仲間、来客、同席者」の意ですが、次のようないろいろな場面で使われます。
Your company would be much appreciated.
(あなたに出席頂ければとても有り難いですが)
We certainly enjoyed your company.
(あなたに来て頂いてとても楽しかったです)
You can tell a man by the company he keeps.
(人柄はその人の付き合う仲間を見れば分かる)
She will be fun company to have for a drinking party.
(飲み会にさそうと彼女は面白い人だよ)
Watch out. We got company!
(気をつけろ。俺たち、後をつけられてるぞ。)


チェイニー副大統領のスピーチはCNNでも見ましたが、原稿から顔も上げず読み上げるだけ。声にも熱がこもっていなくて、まったくおざなりの歓迎の挨拶でした。”We shared your company”というようなくだけた表現は、王室・王族を持たないアメリカでは違和感がないかもしれませんが、かつての宗主国イギリスの女王陛下を前にして言う言葉ではないと、私は違和感を覚えました。

Underdog(負け犬)である英国とイギリス英語の肩を持つ私としては腹の虫がおさまらないため、エリザベス女王アメリカ訪問については項を改めてまた投稿します。

**********

2007年5月3日木曜日

English Inc. vs. Queen's English


英語(株)とクイーンズ・イングリッシュの対決?

モルガン・スタンレー証券の経済研究主席であるロバート・フェルドマン氏が、4月22日の日経新聞に語った話に面白い箇所があるので引用させて頂きます。英語・米語の違いについての話しですが、イギリスは英語を守ったかも知れないが、大英帝国は失ってしまった。米語はその母体である英語とは違った進化をしつつある。作家のマーク・トウェインはかって「英語は株式会社のようなものだ」と言ったそうです。ということは、「最も多く英語を使う人たちの国が英語の大株主として経営権を握る」ということになりますね。これは大変面白い表現であるだけでなく、現在進行中の世界の現実をよく表していると思います。

アメリカの人口は今や3億人に達した。そしてイギリス以上に観光客や留学生やビジネス関係者が出入りして、アメリカ英語に親しみを感じるようになっている。ハリウッド映画も世界中で見られているし、テレビのCNNなどは世界中どこでも見られる。つまり、「英語」株式会社の過半数の株主はアメリカ英語を話す人たちが占めている。創業者のイギリス英語は今や少数株主、経営権はもはや英国にはない。すべての決定権をにぎっているアメリカ発の文化が幅をきかせ、英国文化はかすんでしまった。

英語という言葉自体のもアメリカでは独自の進化をしつつあり、フェルドマン氏の言うようにイギリス人が間違いだという文法までアメリカ式が堂々と通用している。言葉も時代の変化は避けられず、好き嫌いは別として、柔軟に対応していかざるを得ない時代が来ている。わが日本も同じことで、若者言葉やそれに迎合するマスコミ用語などは、解説なしには私など旧世代には理解できません。

タイミングよく、イギリス発のインターネットでもこのテーマに関連する面白い記事を見つけました。エリザベス女王の英語もかつての王室英語”Queen’s English”から、イングランド南部標準語に近い言葉に変わっているそうです。スキャンダルまみれの英王室は国民多数を無視しては存続そのものがあやうい。もっと多くの国民が親しみをもてるようにと、南部標準語を話すようになったと思われますが、これはエリザベス女王の聡明な判断ではないでしょうか。以下それに関する記事を紹介します。

Her Majesty's accent is taking on more modern tone
"A new study suggests the Queen is dropping the traditional RP accent and starting to resemble the standard southern English English accent associated with those "younger and traditionally lower in the social hierarchy." ..." Those pronunciation teachers who hold the view that there is this ideal pronunciation which we can all aim for are obviously wrong … "
(Source: This Month's Language News (www.world-english.org/))

(最近の調査によると、女王は伝統であるRP話法をやめて、若者や社会的には低い階層と結びつけられている標準的なイングランド南部話法に近い話し方をされるようになっている。あこがれの的として目指すのがこの理想的な発音である、という見方をする発音の権威たちは明らかに間違っていたということに・・・・)

これに関してチャーチル英語学校の校長先生がBBCニュースに次のようにコメントしています。

“The Queen is not getting less posh. Still less is she trying to ape the style and manners of the lower social classes. She is merely in tune with the times, becoming more informal or, to put another way, she's getting lazy.”

(女王が上品さをかなぐり捨てたというわけではない。まして、低い社会層のスタイルやマナーをまねすることなどはあり得ない。女王は単に時代の流れを読み取って、あまり格式ばらないようにしているだけで、別の言い方をすれば、格式が面倒くさくなってきたのでしょう。)

・ RP(Received Pronunciation)アクセントとは、パブリックスクール出身者やBBC放送などが使う「仕込まれた英語発音」のことです。不自然な口や舌の動きをともなうので、特別な訓練が必要だそうです。あこがれの的となる英国風の格式高い英語というのはこの「RP発音」のことです。

・ 最後のコメントにある”she’s getting lazy”とは、女王も努力を要する格式ばった話し方をやめて、もっと気楽に話したいからRP発音をやめたのだ、という意味の軽口ですね。

一説によると、今の一般のイギリス人の話す英語はアメリカ英語とオーストラリア英語をミックスしたようなものだそうです。創業者であるイギリス英語は今や少数株主となり、経営権をもつアメリカ英語に従うしかないのは、やはり本家としては無念でしょうね。

腕力とM&Aで儲けて大金持ちになり、支配権をもつようになったアメリカ英語が幅を利かすのはやはり時代の流れでしょうか。実を言うと、私自身はイギリス英語に親近感をもつ方なので、あくまで宗家に礼を尽くし、少数株主の立場から目立たぬように細々と発言するようにいたします。

**********

2007年4月30日月曜日

YOUTH by Samuel Ullman


『青春とは』サミュエル・ウルマンの詩

アンティエイジングを意識してこのブログを始めた以上、避けて通れないのが「抗老化」とは一体どういう意味で言うのか、という問題です。これは私自身がまず明確にしないと先に進みません。ここでちょっと寄り道をして、原点にもどりたいと思います。

アンティエイジングを「抗加齢」という人もいますが、これはちょっと問題があります。年齢を重ねるのは防ぎようがないからです。日本社会では否応なしに誕生日がくれば、またひとつ歳をとらなければならないようになっています。また至る所で年齢を記入させられます。わずらわしい思いをするのは私だけではないでしょう。

正しくは「抗老化」だと思います。老化には肉体面と精神面の両方があります。身体の老化には抵抗する方法はあり、テレビ、雑誌、新聞、その他関連する業界では死んでも健康でありたいと願う人たちで商売繁盛の様子です。しかし、本当の老化は精神の方がはるかに大事な要素であると常日頃から思っていました。そこで、英語との関連からサミュエル・ウルマンの『青春とは』という、知る人ぞ知る詩を取り上げてみようと考えたわけです。

まず英語を何回も読み返して、「青春」の真意をくみ取ってください。なお、私の訳文は出来るだけ原文に忠実に、平易な日常語に訳してあります。詩的な表現で日本語として味わってもらうのが目的ではなく、あくまで英語原文の味わいを重視して、その理解の一助としての訳文としたいからです。

読めば読むほど、これこそ「アンティエイジング」の真髄ではないかと思わせる、味わい深い詩ではないでしょうか。


YOUTH by Samuel Ullman (1840-1924)

Youth is not a time of life;
It is a state of mind;
It is not a matter of rosy cheeks, red lips and supple knees;
It is a matter of the will, a quality of the imagination, a vigor of the emotions;
It is the freshness of the deep springs of life.

Youth means a temperamental predominance
Of courage over timidity of the appetite,
For adventure over the love of ease.
This often exists in a man of sixty more than a boy of twenty.
Nobody grows old merely by a number of years.
We grow old by deserting our ideals.

Years may wrinkle the skin,
But to give up enthusiasm wrinkles the soul.
Worry, fear, self-distrust bows the heart
And turns the spirit back to dust.

Whether sixty or sixteen,
There is in every human being's heart the lure of wonder,
The unfailing child-like appetite of what's next,
And the joy of the game of living.

In the center of your heart and my heart
There is a wireless station;
So long as it receives messages of beauty,
Hope, cheer, courage and power
From men and from the Infinite,
So long are you young.

When the aerials are down,
And your spirit is covered
With snows of cynicism and the ice of pessimism,
Then you are grown old, even at twenty,
But as long as your aerials are up,
To catch the waves of optimism,
There is hope you may die young at eighty.   
***************

『青春とは』サミュエル・ウルマン (1840-1924)

青春とは人生の一時期をいうのではない
それは活動する精神の状態をいうのだ
それはバラ色の頬のことではなく、赤い唇でもなく、しなやかな膝のことでもない
それは意志に係わること、高みを目指す想像力のこと、あふれんばかりの情緒の豊かさのことなのだ
それは生命の深みから湧き出る清冽な泉のことをいうのだ

青春とは、ともすれば臆する本能の弱さに挑み
安逸の日常よりは冒険を求める、
そのひたむきな勇気が支配する精神の状態のことなのだ
この精神は二十歳の若者ではなく齢六十の男に宿るのもまれではない
ひとは単に年齢を重ねるがゆえに老いるのではない
理想を置き去りにすることで年老いてしまうのだ

歳を重ねれば皮膚のしわは増えるであろう
だが熱意を捨てることで魂にしわがよる
悩み事、恐れ、自己不信、これらが心をくじく
そして生きる意欲を灰燼のごとく捨て去るのだ

歳は六十であれ十六であれ
あらゆる人の心には新しい驚きを発見する意欲
子供のように次に来るものを期待するあくなき好奇心
そして生きることの遊びとしての楽しさが息づいている

あなたの心にもわたしの心にも
中には無線通信装置があるのだ
美、希望、歓声、勇気、力のメッセージが
他の人々から、また無限界の存在から受信できる限り、
あなた心はいつまでも青春なのだ

だが、ひとたびアンテナが降ろされ
精神が冷笑を含んだ重い雪、悲観で固まった氷で覆われたとき
歳はたとえ二十歳であろうとも、そのときあなたは年老いるのだ。
しかしアンテナが空高くのばされ、
楽観の波長をとらえ続けるかぎり
齢八十にして青年として死する望みも叶うのだ。

(訳文責:島村政二郎)
***************
[注釈]
*aerial
サムエル・ウルマンはアメリカに移住したユダヤ系のドイツ人で、この詩が書かれたのはタイタニック号の遭難事件のあった1912年から遠くない時期だと思われる。この詩の中には”aerial”(アンテナ)という最近では使わない言葉が出てきますが、これはタイタニック号の救助活動に当時まだ普及し始めたばかりの無線交信技術が大きな役割を果たしたことから、ウルマンも特別の意味をこめてこの言葉を使っているようです。

*temperamental predominance
ときには狂うような激しさの気性が支配する状態のこと。

*appetite
食欲にとどまらず、肉欲、名誉欲、金銭欲など、ついつい人を臆病にして冒険を避けるような誘惑のことを指すと解釈します。

[参考資料]
手島佑郎氏の「青春」の英語原文資料、およびタイタニック号についての解説を参考にさせて頂きました。参照先:http://www16.0038.net/~gilboa/Ullman_Poetry.html
***************


2007年4月24日火曜日

Five Questions Most Feared by Men


男が恐れる五つの質問

奥さんから次のような質問をされたらどう答えます?過去に間違った答えをして、窮地に陥った経験はないですか?なぜ女性はこのようなむずかしいことを聞きたがるのでしょうか。今度また間違えたらもう後がないと思って真剣に考えてください!

The 5 questions most feared by men are:

1 What are you thinking about?
  (あなた、いま何考えているの?) 
2. Do you love me?
  (わたしを愛している?)
3. Do I look fat?
  (わたし太って見える?)
4. Do you think she is prettier than me?
  (あの女、わたしよりきれいだと思う?)
5. What would you do if I died?
  (わたしが死んだらあなたどうする?)

このような質問には間違っても本心を言ってはならない、というのが鉄則ですよ。つい正直に言ってしまったが最後、延々と言い争いが続くのは目に見えていますので。しかし、それで突き放したのでは皆さんのお役には立たないので、詳細に分析した上で、正しいと思われる模範解答をのせておきます。


Question # 1: What are you thinking about?

The proper answer to this, of course, is: "I'm sorry if I've been pensive, dear. I was just reflecting on what a warm, thoughtful, caring, intelligent woman you are, and how lucky I am to have met you."

考え事をしていて不意をつかれたようですね。上の模範解答は次のような正直な答えとは似ても似つかぬものでしょうが、勇気を持って照らし合わせることをお勧めします。あなたの本心は次のどれでしょうか。:

a...Baseball. (野球のこと)
b...Soccer game (サッカー試合のこと)
c...How fat you are. (君もよく太ったね)
d...How much prettier she is than you.
   (彼女は君よりずっときれいだな)
e...How I would spend the insurance money if you died.
  (君が死んだら保険金は何に使おうかな)

ちょっと冷たく聞こえますが、気の利いた答えはおそらく次のようなものでしょうか。
"If I wanted you to know what I was thinking, I would be talking to you!"
 (いま何考えているか君に知って欲しかったら、僕の方から話しているよ。)


Question # 2: Do you love me?

The proper response is: "YES!"
しかし、イエスだけでは心がこもっていませんね。
If you feel a more detailed answer is in order, "Yes, dear."
そうです、お前、とか名前をちょっと付け加えるだけで親密度はアップします。

次のような返事はもめ事のもとになるでしょう。
a...Oh Yeah, crap.
  (うん、まあね、くだらんこと聞くなよ>).
b...Would it make you feel better if I said yes?
  (イエスと言ったら気分がよくなるかい?)
c...That depends on what you mean by love.
  (「Love」をどういう意味で言っているかによるけど)
d...Does it matter?
  (それ大事なことかい?)
e...Who, me?
  (だれ、僕に聞いてるの?)


Question # 3: Do I look fat?

The correct answer is an emphatic: "Of course not!"
<わざとらしくても、このように強調して否定しなければなりません。>

不適切な解答例としは、:
a...Compared to what?
  (何とくらべて?)
b...I wouldn't call you fat, but you're not exactly thin.
  (太ってるとは言わないけど、細身というわけでもないね)
c...A little extra weight looks good on you.
  (すこし太っている方が君には似合っているよ)
d...I've seen fatter.
  (前にはもっと太っていたことあったよ)
e...Could you repeat the question?
  (その質問もう一度言ってくれない?).


Question # 4: Do you think she's prettier than me?

Once again, the proper response is an emphatic: "Of course not!"
<この質問もためらいなく、強く否定しましょう。>

間違った解答例::
a...Yes, but you have a better personality.
  (そうだね。でも君の方が性格はいいよ。)
   <性格などどうでもいいんです。容姿なのです、女の関心事は!>
b...Not prettier, but definitely thinner.
  (きれいとは言わないけど、彼女が細身であることはたしかだね)
c...Not as pretty as you when you were her age.
  (君と同年代だった頃は別として、今の彼女は君よりきれいとは思わない)
d...Define pretty.
  (「きれい」とはどういう意味で?)
e...Could you repeat the question?
  (その質問もう一度言ってくれない?)


Question # 5: What would you do if I died?

警告:これはどう考えても勝ち目のない質問です。本心は「ハワイ旅行でもしたいな」かもしれませんが、そんなこと言ったら最後あなたの方が先に死ぬ羽目になりますよ。どんな答えで切り抜けるにしても、奥さんはしつこく食い下がり、こんな展開になるような気がしますが・・・。

WOMAN:  Would you get married again?
       (再婚する?)
MAN:  Definitely not!
     (とんでもないよ!)
WOMAN:  Why not? Don't you like being married?
       (なぜしないの?結婚したいでしょう?)
MAN:  Of course I do.
     (それはもちろん、そうだけど)
WOMAN:  Then why wouldn't you remarry?
        (じゃあ、なぜ再婚しないの?)
MAN:  Okay, I'd get married again.
     (そんなに言うなら、再婚するよ)
WOMAN:  You would? <ちょっと傷ついたような表情で>
       (本当に?)
WOMAN:  Would you sleep with her in our bed?
       (その女性と私たちと同じベッドで寝るの?)
MAN:  Where else would we sleep?
     (他にどこに寝るんだい?)
WOMAN:  Would you put away my pictures, and replace them with pictures of her?
       (私の写真をはずして彼女の写真と取り替えるの?)
MAN:  That would seem like the proper thing to do.
     (そうするのが一番円満に収まると思うけど)
WOMAN:  And would you let her use my golf clubs?
       (わたしのゴルフクラブも彼女に使わせるの?)
MAN:  She can't use them; she's left-handed
     (それはできない。彼女、左利きだからね)
WOMAN: - - - dead silence - - -<女の沈黙は恐ろしい!>
MAN:   Oh sh-----! <ののしり言葉は削除>.

<女の勘は鋭い。こうして根は善良だが不運な男どもの自白調書が、日夜作成されているのです。こわいですね。>

**********


2007年4月21日土曜日

Man and Woman


男と女

同じ人間とは言いながら、またお互いにお互いを必要としていながら、男と女は決して仲が良いわけではない。母親の胎内で人間の形になり始める時から、男と女はすでに脳の配線構造が違っていて、成長するにつれてその違いは決定的になるようです。

イギリスのジョークにはこんなものがあります。
An English teacher wrote these words on the whiteboard: "woman without her man is nothing". The teacher then asked the students to punctuate the words correctly.

The men wrote: "Woman, without her man, is nothing."

The women wrote: "Woman! Without her, man is nothing."


Punctuateとは句読点をつけることですが、これは意外に重要です。上の例のように同じ単語を使いながら意味を逆にしたり、また主張を明確にできるだけでなく、メリハリがきいた読みやすい文になります。しゃべり言葉では、句読点の代わりに抑揚をつけたりストレスの強弱で、意味を明確にしたりできます。

**********
男と女の話題は今後も続くと思いますが、今回はもう一つだけ。

Charles was getting annoyed and shouted upstairs to his wife," Hurry up or we'll be late."

"Oh, be quiet," replied his wife. "Haven't I been telling you for the last hour that I'll be ready in a minute?"


Annoyはよく使われる言葉で重宝します。「いらいらさせる、気に障る」という意味です。
Would you stop making that noise? It annoys me.
His bad manner is very annoying.
I was so annoyed by the bad service I did not leave any tip.


男はせっかち、女はマイペース。だから、男は早死にし、100歳以上の長寿者はほとんどが女性となるわけですね。まあ、それで良いのだと思いませんか。100歳以上の女性との生活など想像できますか?べつに気兼ねする必要はありません。相方の方は60歳を過ぎたらもうゴメンだと思っている可能性は大ですから。
***********


2007年4月19日木曜日

English Cuisine and English Women


イギリス料理とイギリス女

“English cuisine and English women – the foundation of a great seafarer nation!”

まずイギリス料理、または英国料理という言葉を聞いたことがありますか?イギリス女は?そうですね、あまり聞いたことがありませんね。私もイギリス料理で有名なのは「ローストビーフ」くらいしか知りません。「フィッシュ・アンド・チップス」はアメリカのハンバーガーと同じで、料理というにはちょっと。フランス料理やイタリア料理、中国料理、日本料理、タイ料理、などの世界に冠たる有名料理の前には顔色なしというのはまちがいないでしょう。

イギリス女は?これもあまり艶っぽい話題にはなりませんね。もしかすると、料理という文化とそれを育てる女というのは深い関係があるのかもしれません。日本料理も今や世界的な有名料理なので、その文化に育まれた日本女性も味わい深い、ということにして話しを本題に戻します。

この一行の英語は単語を並べただけで、文にもなっていません。しかし、意味深長な味わいがあり、いつも頭の片隅にひっかかっていたので取り上げた次第です。タイの英字紙『The Nation』のチャットコーナーにだれかが残したものです。私は自虐的なイギリス人が書いたものと勝手に思いこんでいますが・・・。

要するに、「イギリス料理はまずい、女もしかり。だからこそ、自国にはないおいしい食べ物と女を求め七つの大海に船を走らせ世界を制覇し、海洋国家たる大英帝国の礎を築くことができたのである。」。何度読み返してもこのようにしか解釈できないのですが・・・。

フランスやイタリアはそれほどの冒険心を抱かなかったのはなぜか、面白いですね。スペインやポルトガルも海洋国家としてよく頑張ったものの、祖国に後ろ髪を引かれる思いが強く、捨て身の大英帝国には及ばなかったのでしょうか。

料理といい、女といい、根幹となる文化の有無が国の興亡を左右するとすれば、コロンブスのケガの功名にすぎない「アメリカ大陸」発見より面白いと思います。料理と女が歴史を動かす!

そういえば、アメリカ料理というのも聞かないのがちょっと気になりますね。
腕力に物を言わせて世界制覇の野望に燃えているように思えてなりませんが・・・・


**********


2007年4月18日水曜日

Sincerely


Ladies and gentlemen,

島村と申します。ボケてくる頭を叩きながら、ブログなるものをおっかなびっくりで始めることになりました。アカデミズムとは関係なく、英語とは仕事と読書の趣味で長年付き合ってきたこともあり、まだ現役でもあります。面白い英語と出会うたびに、100人の方の一人でも参考になればと、つれづれに書き留めておこうという思いで出発いたします。

何卒よろしくお願いたします。

**********
英語の手紙の結びにはよくSincerelyということばが使われます。日本語の手紙の「敬具」に相当する言葉ですね。その語源が面白いので、「ダヴィンチコード」の作者Dan Brown氏の第一作目の小説『Digital Fortress』の結末部分から引用させていただきたい。

ルネサンス期のスペインで、彫刻家が高級な大理石で彫った作品にキズをつけたときには、ワックスを塗ってキズがわからないように工夫したそうな。このワックスはスペイン語でceraという。ワックスを使う必要のない完璧な作品は、「ワックスなし」の意味のsin cera作品と呼ばれた。やがてこの語は、「正直な、本物の」という意味で使われるようになった。

英語の sincereという語は、スペイン語のsin cera から派生した言葉として使われるようになり、誠実な、純真な、という意味や、手紙の結びのsincerely「心をこめて」として今日でも堂々と通用している。

ダン・ブラウン氏の小説では、”I love you. Without wax.” と謎めいた愛の告白メモとして使われている。それを手にした暗号解読の専門家であるヒロインが、意味を教えてくれるまで結婚してあげないわよ、とメモを書いた恋人の言語学者にすねるところでこの小説は終わっている。ロマンティックなひねりのきいた心憎いエンディングである。 

ついでながら、この小説は氏の第一作目であるだけに、あちこちにワックスが必要な箇所はあるものの、4作目の最新作「ダヴィンチコード」の作家としての希有の才能がすでにあふれ出ているような作品だと思います。
**********

まあ、このような感じで英語のおもしろさ、ユーモアなど、思いつくままに投稿していきますので、お気軽にお付き合いのほどお願いいたします。

Sincerely,

Masa Shimamura