2007年5月3日木曜日

English Inc. vs. Queen's English


英語(株)とクイーンズ・イングリッシュの対決?

モルガン・スタンレー証券の経済研究主席であるロバート・フェルドマン氏が、4月22日の日経新聞に語った話に面白い箇所があるので引用させて頂きます。英語・米語の違いについての話しですが、イギリスは英語を守ったかも知れないが、大英帝国は失ってしまった。米語はその母体である英語とは違った進化をしつつある。作家のマーク・トウェインはかって「英語は株式会社のようなものだ」と言ったそうです。ということは、「最も多く英語を使う人たちの国が英語の大株主として経営権を握る」ということになりますね。これは大変面白い表現であるだけでなく、現在進行中の世界の現実をよく表していると思います。

アメリカの人口は今や3億人に達した。そしてイギリス以上に観光客や留学生やビジネス関係者が出入りして、アメリカ英語に親しみを感じるようになっている。ハリウッド映画も世界中で見られているし、テレビのCNNなどは世界中どこでも見られる。つまり、「英語」株式会社の過半数の株主はアメリカ英語を話す人たちが占めている。創業者のイギリス英語は今や少数株主、経営権はもはや英国にはない。すべての決定権をにぎっているアメリカ発の文化が幅をきかせ、英国文化はかすんでしまった。

英語という言葉自体のもアメリカでは独自の進化をしつつあり、フェルドマン氏の言うようにイギリス人が間違いだという文法までアメリカ式が堂々と通用している。言葉も時代の変化は避けられず、好き嫌いは別として、柔軟に対応していかざるを得ない時代が来ている。わが日本も同じことで、若者言葉やそれに迎合するマスコミ用語などは、解説なしには私など旧世代には理解できません。

タイミングよく、イギリス発のインターネットでもこのテーマに関連する面白い記事を見つけました。エリザベス女王の英語もかつての王室英語”Queen’s English”から、イングランド南部標準語に近い言葉に変わっているそうです。スキャンダルまみれの英王室は国民多数を無視しては存続そのものがあやうい。もっと多くの国民が親しみをもてるようにと、南部標準語を話すようになったと思われますが、これはエリザベス女王の聡明な判断ではないでしょうか。以下それに関する記事を紹介します。

Her Majesty's accent is taking on more modern tone
"A new study suggests the Queen is dropping the traditional RP accent and starting to resemble the standard southern English English accent associated with those "younger and traditionally lower in the social hierarchy." ..." Those pronunciation teachers who hold the view that there is this ideal pronunciation which we can all aim for are obviously wrong … "
(Source: This Month's Language News (www.world-english.org/))

(最近の調査によると、女王は伝統であるRP話法をやめて、若者や社会的には低い階層と結びつけられている標準的なイングランド南部話法に近い話し方をされるようになっている。あこがれの的として目指すのがこの理想的な発音である、という見方をする発音の権威たちは明らかに間違っていたということに・・・・)

これに関してチャーチル英語学校の校長先生がBBCニュースに次のようにコメントしています。

“The Queen is not getting less posh. Still less is she trying to ape the style and manners of the lower social classes. She is merely in tune with the times, becoming more informal or, to put another way, she's getting lazy.”

(女王が上品さをかなぐり捨てたというわけではない。まして、低い社会層のスタイルやマナーをまねすることなどはあり得ない。女王は単に時代の流れを読み取って、あまり格式ばらないようにしているだけで、別の言い方をすれば、格式が面倒くさくなってきたのでしょう。)

・ RP(Received Pronunciation)アクセントとは、パブリックスクール出身者やBBC放送などが使う「仕込まれた英語発音」のことです。不自然な口や舌の動きをともなうので、特別な訓練が必要だそうです。あこがれの的となる英国風の格式高い英語というのはこの「RP発音」のことです。

・ 最後のコメントにある”she’s getting lazy”とは、女王も努力を要する格式ばった話し方をやめて、もっと気楽に話したいからRP発音をやめたのだ、という意味の軽口ですね。

一説によると、今の一般のイギリス人の話す英語はアメリカ英語とオーストラリア英語をミックスしたようなものだそうです。創業者であるイギリス英語は今や少数株主となり、経営権をもつアメリカ英語に従うしかないのは、やはり本家としては無念でしょうね。

腕力とM&Aで儲けて大金持ちになり、支配権をもつようになったアメリカ英語が幅を利かすのはやはり時代の流れでしょうか。実を言うと、私自身はイギリス英語に親近感をもつ方なので、あくまで宗家に礼を尽くし、少数株主の立場から目立たぬように細々と発言するようにいたします。

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